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人間、この愛おしきもの

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みなさん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
修善寺中学校サッカー部では、主力メンバーの多くが咳が止まらない病気になってしまって困っています。今週末に中体連だというのに大丈夫でしょうか。急に暑くなってきましたので、みなさんも体調管理にはくれぐれもお気をつけ下さい。

さて、今回はタイトルに掲げた遠大なテーマに挑戦してみたいと思います。しかし、きっと、みなさんのご期待には添えないだろうことも申し上げておきます。

みなさんは、「行動経済学」という言葉をご存じでしょうか。行動経済学は新しい分野の経済学で、主として心理学の知見を経済学に応用し、従来の伝統的な経済学では説明できない事象を解き明かそうという学問領域です。

伝統的な経済学は、「ホモ・エコノミカス」(合理的経済人)を前提として発達してきた学問です。ここでいう合理的経済人とは、以下のような特徴を持つ人間を想定しています。まず、様々な経済活動において「超合理的」に物事を判断する人です。次に、自らの行動において「超自制的」に行動できる人です。最後に、すべてにおいて「超利己的」に行動する人です。

実際には、このような人はなかなかいないと思います。従って、伝統的な経済学が示すモデルでは、世の中の経済活動を説明しきれない部分が出てきます。行動経済学では、実際の人間の行動が合理的経済人の前提とくい違う部分について、実際の人間の行動から経済事象を解き明かそうとするものです。

まあ、前ふりはこのくらいにして、次の問題を考えてみてください。

【問題】
あなたは1,000円渡され、見知らぬ誰かと分けるようにと言われた。
自分の分として全額手元に置いてもいいし、一部を自分で取り、残りを相手に渡してもよい。
ただし、相手には拒否権があり、相手がその額を受諾したらあなたの提案どおりに分配されるが、相手がそれを拒否したら2人とも一銭ももらえないとする。
あなたなら相手にいくら渡すと提案するだろうか?

「行動経済学」 友野典男 光文社新書より

いかがでしょうか。えっ、300円?
甘い甘い、あなたも相手も合理的な経済人であれば、1円が正解です。
だって、相手は1円でもゼロよりは良いから、この申し出を受けるでしょう。そして、あなたは何くわぬ顔で999円を手にする。これが、伝統的な経済学が前提とする合理的経済人なのです。

でも、実際には、人間はそういう風には行動しません。
この実験はさまざまな設定で行われていますが、「提案者の平均的な提案額は45%前後であり、最頻値は50%である。また、30%以下の提案のうち半分は応答者によって拒否されている。また、月収の3ヶ月分もの初期保有額で実験が行われたこともあったが、結果に大きな相違はなかった」(前掲書)ということです。

平均45%というと450円ですね。最頻値は50%ということですから、最も多くの人が500円すなわち、半分半分という提案をしているということです。

みなさんはいくらくらいの提案でしたか?
私は、300円かな?400円かな?というところで非常にまよっておりました。

300円だなんて、何とケチなんでしょう。なぜ、500円と言えないんでしょう。
でも、月収の3ヶ月分だったらどうでしょう。月収の3ヶ月分というとわかりにくいので、ここでは100万円としておきましょう。みなさん、100万円でも半々といえますか?

私は、実際に目の前に100万円を積まれたら、「20万円!」といってしまいそうです。

この分配のことを考えていたら、ふっと子供の頃のことを思い出しました。母親が私と弟にアイスクリームをくれるんですけど、必ず同じものをくれるんですね。当り前ですけど。そうすると、私はパクパクとすごいスピードで食べちゃうんです。一方、弟はまだ小さいこともあって食べるのが遅いんですね。これがまた、異常に遅いんです。そこで、すでに食べ終わってしまった私は、弟に「ちょっと、ちょうだい」攻撃をしかけるんです。弟も最初は拒否するんですけど、最後は私の熱意(?)に負けて一口くれたりするんですね。

今思うと、悪いことをしたなあと反省しきりです。それにしても、私という人間は、子供の頃から「超」合理的経済人だったんですね。だから、大人になっても、20万円という提案をして、相手の怒りを買って1円ももらえないんですよね。それでも、世の中は捨てたもんじゃありません。仲良く50万円づつという提案をする人がいちばん多いのですから。いやあ、ありがたいことです。この方たちに幸あれ、と祈らずにはいられません。

そして、無事50万円を手にした折には、私にも「ちょっと、ちょうだい」と願わずにはいられません。

参考文献:

友野 典男
価格:¥ 998(定価:¥ 998)
おすすめ度:


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2008年7月19日 07:37に投稿されたエントリーのページです。

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