
みなさん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
一年の経つのは早いもので、もう師走です。今年は暖かい日が多く十二月という感じがしませんが、それでも長年の習い性からかなんとはなしに気ぜわしく感じます。
さて、今回は道具というテーマで書かせて頂きます。
また釣りの話で恐縮ですが、先日釣りに行った時のことです。朝六時に出船し、ポイントに到着したところで、船長の合図とともに釣り開始となりました。
ご存知の方も多いと思いますが、釣りは「朝まづめ」、「夕まづめ」、といって日の出前後、日の入前後が一番釣れる時間帯です。朝六時に出船した私たちは、当然「朝まづめ」を狙うことになります。ここで一匹釣れるかどうかで、その日一日余裕を持って釣りができるかどうかという大事な時間帯です。
出船してからポイントに着くまでは、結構忙しく準備を整えます。それもこれも、この「朝まづめ」の時間帯にスムースに釣りをするためなのです。釣りをやったことのない方は、釣り人というと、ゆっくり流れる川辺で、こっくりこっくり居眠りしながら釣り糸を垂れている太公望を思い浮かべるかも知れません。しかしながら、現代の釣りはそのような悠長なものではありません。釣れる可能性の高い時間帯にすべての準備を整え、集中して釣るのです。その意味では、一瞬にして勝負が決まってしまう剣術や柔術に近いものがあるかも知れません。
まあ、そんなに恰好の良いものではないとしても、その日の第一投はかなり重要です。満を持して全員で仕掛けを投じました。
あれっ。一人だけ仕掛けが落下しない人がいます。おかしいなぁ。なんで仕掛けが落ちていかないんだろう。リールのスイッチが入らないのです。電源はつながっています。その証拠にリールのメーター表示は0mを示しています。しかし、何度押してもメインスイッチが入らないのです。
全身から油汗がふき出してくるのを感じます。実際、いやな予感はありました。今回、私は三ヶ月前に釣りに行って以来、忙しさにかまけて一度も道具の確認をせずにいきなり本番に望んでしまったのです。このことが釣りを始める前に気になってはいました。普段なら必ず、釣行前にリールをバッテリーにつないで動作を確認するのですが、今回はそれを怠っていました。
後悔の念がこみ上げてきますが、どうにもなりません。二十回程スイッチを押し続けましたがウンともスンともいいません。半ベソ状態で隣にいる釣り仲間のホリさんに、「リールのスイッチが入らないよぉ~」と助けを求めました。ホリさんも心配してくれて、「そおか。それじゃ手動に切り替えたら」とアドバイスをくれました。「そおだ。その手があった。」さっそく、手動に切り替えようとしましたが、手動に切り替えるレバーが見当りません。私のリールは、「SEABORG Z500FT ULTRA FREE」という最上級モデルでありますからして、もともと手動などという概念はないのでした。
予備のリールも持っていましたが、取り出してみると整備不良でとてもすぐに使える状態にありません。仕方なく船長に、「リール貸してもらえませんか」とお願いしてみました。やさしい船長は、「手動のリールならあるよ」といってくれましたが、今日の棚は30m~70mと比較的深い所を狙うので手動ではとても体力が持ちそうにありません。
情けないやら、悔しいやらで、「今日はもう釣りやめちゃおうか」という最悪の選択肢が脳裏をかすめました。気を取り直して、つないでいたコードを一度はずし、もう一度つなぎ直しました。それでもスイッチは入りません。しかし、いつもよりバッテリーのパワーが弱いように感じました。原因は、リールのスイッチの不具合だとばかり思っていましたが、もしかしたらバッテリーの充電が不充分なのかも知れません。天に祈るような気持で、船長にバッテリーを借り、もう一度つなぎ直してみました。その直後、今までウンともスンともいわなかったリールが突然息を吹き返したように反応してくれたのです。リールは見事に生き返ってくれたのです。
ああ、よかった。これで釣りができる。十数分の遅れをとった私は、その後まさに一所懸命に釣りに没頭したのでした。そのおかげで、50cmクラスのイナダ4本、マダイ2枚、大サバ2本とすばらしい釣果を上げることができたのでした。めでたし、めでたし。
って、これじゃ小学生の作文ですね。私の言いたいのはそんなことじゃないんです。道具です。道具。今回のことで、はっきり分かりました。私は道具に頼り切っているのです。しかも、ハイテク機器に。
みなさんも経験ありませんか?パソコンが動かなくなったこと。その時、ものすごくイライラしますよね。携帯電話を洗濯機で洗って壊してしまったことはありませんか?今まで蓄積した電話番号が全部パーになって、青ざめたこと。車が踏切でいきなりエンストを起こしたことはありませんか?何度キーを回してもエンジンがかからない恐怖を。
(つづき)